今回は、2023年度大学陸上界No1の選手と言われている駒澤大学・篠原倖太朗選手について解説していきます!
「今まで目立ってきた選手ではなかったのではないか。」と思う方も多いのではないでしょうか。
ただ、この記事で彼の陸上人生を深掘っていくことで、彼のどのように成長してきたか分かるかと思います。
次回の箱根駅伝では最も注目される選手の一人になることは間違いないので、今回の記事では篠原選手がどのような選手であるか紹介していきたいと思います。
篠原倖太朗選手とはどのような選手なのか
まずは篠原選手の選手紹介を表にまとめてみました。
名前 | 篠原 倖太朗(しのはら こうたろう) |
出身 | 千葉県山武市 |
出身中学 | 山武市立山武中学校 |
出身高校 | 千葉県立富里高校 |
自己ベスト(5000m) | 13:34.28(2022年5月4日:ゴールデンゲームズ延岡) |
自己ベスト(10000m) | 27:43.13(2023年4月8日:金栗記念) |
自己ベスト(ハーフマラソン) | 60:11(2023年2月5日:丸亀ハーフ) |
千葉県出身の20歳で、現在駒澤大学の3年生です。
高校は地元千葉県の富里高校に通っていました。富士通の佐藤佑輔選手や久我和弥選手の母校であり、顧問の北原慎也先生は駒澤大学で箱根駅伝5区区間賞を取った選手でもありました。
富里高校時代は、同じ千葉県の選手に1学年上の八千代松陰の佐藤一世選手(青山学院大学)や石井一希選手(順天堂大学)ら世代トップの選手たちもライバルとしていました。
ハイレベルなライバル達と競い合う環境の中で、1年時から1500mをメインに大会出場を続けていましたが、高校3年時には全国高校陸上大会で3位に入るなど、着実にその実力を伸ばしていきました。
さらに駒澤大学入学時は5000mで14分30秒台だった選手であったが、入学後の6月に13分台の記録をたたき出すなど、その才能を開花させていきました。
その後も大会ごとに自己ベストを更新し、10月の出雲駅伝では1年生で1区を任されるようになり、区間8位ではあったものの、トップと16秒差のタスキ渡しとなり、まずまずの大学駅伝デビューとなりました。
大学2年生に上がってからは、5000mで13:34.28の記録を樹立するなど、世代トップレベルの記録を出すだけでなく、箱根駅伝では3区区間2位のチームの3冠に寄与する活躍も見せるようになりました。
その後も10000mで27分台の記録を出したり、ハーフマラソンで60分11秒の好記録を出すようになるなど、現在は学生長距離界No1の選手として君臨しています。
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篠原が大学陸上界No1である理由
ここからは、大学長距離界No1選手である篠原選手の強さの秘密を深掘っていきたいと思います。
彼の強さを示すポイントとしては、大きく3つありますので、まずはそのポイント3つを紹介していきます。
ポイント①長距離種目で圧倒的な強さを出している
まずは,長距離種目での圧倒的な強さという大きなポイントがあります。
篠原選手は入学時は5000m14分30秒台の選手でしたが、入学後にタイムを着実に伸ばしていき、近年は5000m~ハーフマラソンまで大学トップレベルの記録を保持しています。
ポイント②同世代のライバルをしのぐパフォーマンスを発揮
大学長距離界のトップ選手として、現在は鈴木芽吹選手(駒澤大学)、三浦隆司選手(順天堂大学)、吉井大和選手(中央大学)のBIG3がいると言われています。
しかし、それらの選手と比較しても篠原選手のパフォーマンスは特筆すべきものがあります。
BIG3の選手たちは高校時代から世代のトップ選手として戦ってきていましたが、驚異の成長率でそれらの選手と互角またはそれ以上のパフォーマンスを発揮できるようになっていきました。
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ポイント③日本トップレベルのチームメイトの存在
現在の大学長距離界では、2022年度に大学駅伝3冠を達成した駒澤大学の強さが頭一つ抜けていることは間違いないです。
各学年に世代のトップ選手がおり、1500mからマラソンまで幅広い種目のトップ選手が在籍しています。
低学年のころから世界を目指してきた田澤廉選手(TOYOTA自動車)や鈴木芽吹選手などの先輩の姿を見ていく中で、篠原選手の意識も変わっていったことは間違いないでしょう。
それでは、それぞれのポイントについて詳しく深掘っていきます。
ポイント①長距離種目での圧倒的な強さ
篠原選手はもともと高校時代に1500mの名選手として活躍してきましたが、大学入学後には5000mで着実にタイムを伸ばしていき、その後はハーフマラソンでも学生新記録を樹立するなど、幅広い種目で成長して行きました。
ここからは5000m・10000m・ハーフマラソンの3種目での強さを紹介していきます。
種目①5000m
篠原選手が記録を伸ばしていくきっかけとなったのが、5000mでの記録の更新があると思います。
大学入学時は14分30秒台の記録を持っていましたが、大学入学後の6月12日(土) 第1回世田谷陸上競技会で早速13分台の記録(13’55″59)をたたき出しました。
その後も9月19日(日) 天皇賜盃第90回日本学生陸上競技対校選手権大会では5000m2位になるなど、速さだけでなく勝負強さについても磨かれていきました。
そして2年生になった後も、2022年5月4日(水) 第33回ゴールデンゲームスinのべおかで駒澤大学歴代5位となる13分34秒28の記録を樹立しました。
実業団のトップ選手とも互角に張り合う姿からは、メンタル面での強さも感じてきました。
種目②10000m
篠原選手は10000mでも強さが目立つ選手になっていきました。
大学1年時は主要大会では10000mでの出場はなかったようですが、大学2年生に上がった後、5月19日(木)~5月22日(日)第101回関東学生陸上競技対抗選手権大会で28分41秒13の記録で8位入賞を果たしました。
高校~大学1年時は1500~5000mなどの比較的スピード種目での実績を上げてきましたが、大学入学後に駅伝対策も兼ねて長距離練習を積み重ねていく中で、10000mでも走りきれる体力をつけてきました。
その後も着実にタイムを伸ばしていき、大学3年に進学した直後の4/8(土) 第31回金栗記念選抜陸上中長距離大会2023では27分43秒13の日本学生歴代4位の好記録を出しました。
※なお、駒澤大学では大学歴代3位の記録(田澤選手、鈴木芽選手)ということで、ここ数年の駒澤大学のレベルの高さがうかがえます。
種目③ハーフマラソン
篠原選手が最も実力を発揮しているのはハーフマラソンではないでしょうか。
大学1年時から駅伝メンバーに選ばれるなど、駅伝の強豪駒澤大学で揉まれてきた篠原選手ですが、ここ数年はロードの適正が目立ってきています。
篠原選手がハーフマラソンで注目を集めたのが、丸亀ハーフマラソン大会です。
大学2年生として出場したこの大会で、篠原選手はいきなり60分11秒の好記録を出し、2学年先輩の山野力がマークした日本人学生最高タイム(1時間0分40秒)を大幅に上回った。
また、3月12日(日) 第26回日本学生ハーフマラソン選手権大会ではユニバーシアード代表の選考大会であることから、勝負強さについても重視される大会ではありましたが、1時間02分16秒の好記録で優勝を決め、見事にユニバーシアード日本代表内定しました。
箱根駅伝優勝後に1か月に1度の頻度でハーフマラソンに出場し、結果を残している状況を踏まえると、篠原選手の強さを感じます。また、過去の取材では「大会で外すことはない。」と本番での勝負強さに自信を持っている発言もしているなど、安定して結果を残せる点で強さを感じます。
ポイント②同世代のライバルをしのぐパフォーマンスを発揮
鈴木芽吹選手(駒澤大学)
同じ大学で日本トップレベルの実力をもつ鈴木芽吹選手がいることは、篠原選手にとっては良いモチベーションになっているのではないでしょうか。
昨年度までは田澤選手や山野力選手(九電工)らが4年生として在籍しており、日本トップレベルの記録を保持していましたが、今年度在籍する選手としては大学2年次に日本選手権で3位に入った鈴木選手がいるため、引き続き大きな先輩の背中を追いかけて練習に取り組めているのではないでしょうか。
先述した10000mの駒澤大学記録についても、鈴木選手が歴代2位の記録を保持しており、1つの目標となっているのではないでしょうか。
ただし、鈴木選手は大学歴代2位の記録を出したあとから、度重なるケガに悩まされており、その後は自己ベストを更新できていません。
その間自己ベストを着実に更新している篠原選手の成長を見ていると、早くも今年度中には鈴木選手の記録を追い抜かすのではとも思えるほど勢いがあります。
三浦龍司選手(順天堂大学)
続いては、学生オリンピアンの三浦龍司選手です。
5000mでは13分26秒78を持つ三浦選手の強さが目立ちますが、三浦選手はハーフマラソンにおいては1時間01分41秒(箱根駅伝予選会)の記録が自己ベストとなるため、篠原選手が大きくリードしている状況がうかがえます。
箱根駅伝での活躍についても、チーム順位の関係もあり単純な比較が難しいですが、三浦選手は3年間の出走で1区10位、2区11位、3区12位の結果となっているため、篠原選手が2年生で区間2位で走ったことを踏まえるとロードの強さという点でも篠原選手が優位に立っているように思えます。
三浦選手については、3000m障害という特殊な種目を専門としているので、5000mを超す種目については練習の意味も込めて出場しているものもあるかもしれないですが、「長距離種目の強さ」という点で篠原選手が強さを発揮しているようです。
吉井大和選手(中央大学)
最後に、ロードの強さが目立つ吉井大和選手です。
今年の箱根駅伝2区では篠原選手の先輩である田澤廉選手に勝ち、区間賞を取った吉井選手ですが、ここ数か月のパフォーマンスについては篠原選手と互角の結果を出しています。
吉井選手は先日アメリカで行われたThe tenにも出場しており、そこでは田澤選手が10000m、吉井選手が5000mに出場するなど、学生時代から世界を目指している姿がうかがえます。
1年時は区間13位に沈んだものの、2年時は1区で区間賞(区間新)、3年時は2区でも区間賞を取りました。
正直なところ吉井選手とは互角のレベルかと思いますが、同世代のトップ選手として全国高校駅伝で優勝などを果たしてきた吉井選手と互角になるだけの急成長をしている点で、篠原選手のポテンシャルの高さを感じます。
ポイント③日本トップレベルのチームメイトの存在
田澤廉選手
篠原選手が記録を伸ばしていくきっかけとなったのが、日本トップレベルの実力を持つチームメイトの存在が大きかったのではと思います。
特に、2個上の田澤選手は日本トップ選手として、大学陸上界の枠を超えて活躍されている選手です。彼の存在を近い位置で見たことが、篠原選手にとっても大きな影響を与えていたことと思います。
実際に、篠原選手は過去に田澤選手と鈴木芽選手とともに、標高1500mの高地にあるアメリカ・アルバカーキでの合宿に参加した経験がありました。
そこでのトラック練習では、田澤選手に一度も勝てなかった経験があり、その合宿を機に日本トップ選手との差を痛感したと話していました。
鈴木芽吹選手
同じ大学で日本トップレベルの実力をもつ鈴木芽吹選手がいることは、篠原選手にとっては良いモチベーションになっているのではないでしょうか。
昨年度までは田澤選手や山野力選手(九電工)らが4年生として在籍しており、日本トップレベルの記録を保持していましたが、今年度在籍する選手としては大学2年次に日本選手権で3位に入った鈴木選手がいるため、引き続き大きな先輩の背中を追いかけて練習に取り組めています。
実際に、先述した10000mの駒澤大学記録についても、鈴木選手が歴代2位の記録を保持しており、1つの大きな目標としているようです。
ただし、鈴木選手は大学歴代2位の記録を出したあとから、度重なるケガに悩まされており、その後は自己ベストを更新できていません。
その間自己ベストを着実に更新している篠原選手の成長を見ていると、早くも今年度中には鈴木選手の記録を追い抜かすのではとも思えるほど勢いがあります。
佐藤条二選手
最後に、駒澤大学の同期で入学時から活躍を続けている佐藤条二選手の存在も大きいのではないでしょうか。
高校時代は千葉県の強豪校である市立船橋高校に所属していた佐藤選手は、高校時代から篠原選手としのぎを削ってきていた選手です。
大学入学後も、佐藤選手は全日本大学駅伝で1区区間新でデビューするなど、華々しい成績を残してきました。
その後佐藤選手は残念ながらメンタル面の不調などもあり、退部することとなってしまいましたが、同世代の良きライバルの存在も篠原選手の活躍に後押ししているのではないでしょうか。
まとめ
大学長距離界No1選手である篠原倖太朗選手について、詳しく紹介していきました。
読者の皆様も、今回の記事で篠原選手の強さが分かったのではないでしょうか。
間違いなく今後のトラック・駅伝シーズンともに大活躍すると思うので、今の時点で注目していただければと思います!
今後も記録更新がされた際には、この記事についても更新していければと思いますので、引き続きお楽しみを!
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